全国ダイバーシティ・ネットワークダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)

大阪大学 
ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進宣言

大阪大学は、その源流である懐徳堂・適塾の市民精神を受け継ぎつつ、「地域に生き世界に伸びる」をモットーに、それぞれの時代の社会的課題に応えてきました。多様性を包摂する心豊かな地域と世界の実現は目下喫緊の課題であり、そのためにはより革新的な取り組みが求められています。

 大阪大学は、平成28年に『大阪大学男女協働推進宣言』を、平成29年に『大阪大学「性的指向(Sexual Orientation)」と「性自認(Gender Identity)」の多様性に関する基本方針』を、更に令和2年には総長以下経営層による「イクボス宣言」と「SOGIアライ宣言」を公表し、多様な性的指向・性自認、国籍や文化的背景、年齢、価値観、障がいの有無等にかかわらず全ての学生・教職員が尊重される環境の整備に取り組んできました。しかし、人材の多様性を保証するだけでは、一人ひとりの個性と潜在能力を十分に引き出し、その強みを大学全体として活かしきれているとはいえません。多様性(ダイバーシティ)が個人のアイデンティティとして当たり前に包摂(インクルージョン)される環境作りこそが、組織全体としての活力を発展させるために不可欠と考えます。

 この度、大阪大学は、上記の『宣言』と『基本方針』を継承しつつ、これらを新たな段階へと発展させるため、『大阪大学ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進宣言』を公表し、多様性が真に受容され、尊重される環境整備を促進・徹底することを宣言します。

大阪大学が目指す「生きがいを育む社会の創造」は、多様性を包摂する社会の実現に他なりません。そうした社会変革を率先して具体化するため、大阪大学は以下の方針を柱として、更なる自己変革を図ります。

1.全構成員の意識改革と学び方・働き方改革

 無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス)を克服すべく、学生・教職員全員を対象とする全学的な授業・研修等の強化・拡充を図ります。そして、学生・教職員の多様なライフスタイルが尊重されるよう学び方・働き方改革を促進します。

2.多様性の尊重と包摂に向けた多角的な取り組み

 全ての大学構成員は、多様な性的指向・性自認、国籍や文化的背景、年齢、価値観、障がいの有無等をこえて「様々な能力・可能性を持つ人々」であるとの認識のもと、各人がその能力を存分に発揮できるより公正な学修・研究・就業環境を、ハードとソフトの両面で整備します。

3.ジェンダー平等に向けた均等支援

 管理職や意思決定過程における女性の登用や女子学生の比率増加を、従来のポジティブアクションに加えクオータ制等も活用しながら全学的に推進し、ジェンダー平等社会の実現に向けた取り組みを加速させます。

大阪大学 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進宣言の用語について

●性的指向(Sexual Orientation)

性的指向とは、人の恋愛・性愛がどういう対象に向かうのかを示す概念を言います。具体的には、恋愛・性愛の対象が異性に向かう異性愛(ヘテロセクシュアル)、同性に向かう同性愛(ホモセクシュアル)、男女両方に向かう両性愛(バイセクシュアル)を指します。いずれにも恋愛・性愛の対象が向かわない無性愛(アセクシュアル)、恋愛感情は抱くが性的欲求がないノンセクシュアル等多様なあり方があります。

●性自認(Gender Identity)

性自認とは、自分の性をどのように認識しているのか、どのような性のアイデンティティ(性同一性)を自分の感覚として持っているかを示す概念です。「こころの性」と呼ばれることもあります。自分が感じる性が出生時に割り当てられた性別と一致しないこともあります。

●SOGI

Sexual Orientation(性的指向)とGender Identity(性自認)の英語の頭文字をとった言葉です。どの性別の人を好きになるか(性的指向)と自分自身の性別をどう認識するか(性自認)は別の概念です。よく使われるLGBTという言葉はセクシュアル・マイノリティの「人」を限定的に表しますが、性的指向も性自認もグラデーションであり、マジョリティ・マイノリティの二分割はできません。大阪大学では、「すべての人がそれぞれの性的指向・性自認をもっている」という考え方に基づき、性的マイノリティだけでなく、多数派も含めたあらゆる人の性の在りようを示すSOGIという文言を選択しました。

※LGBTとは、一般的に次のことを指します。
L:女性の同性愛者(Lesbian:レズビアン)
G:男性の同性愛者(Gay:ゲイ)
B:両性愛者(Bisexual:バイセクシュアル)
T:出生時に割り当てられた性別(生まれた時の戸籍の性別)とは異なる性別の性自認・ジェン ダー表現のもとで生きている人々の総称(性同一性障害者を含む)(Transgender:トランス ジェンダー)
決められない、決めたくないという方も含めてLGBTQ+と表現することもあります。(Q:クエスチョニング、クイア)

●イクボス

「部下や同僚等の育児や介護・ワークライフバランス等に配慮・理解のある上司」のことです。

●アライ

英語のAlly(同盟、支援者)が語源で、LGBTのことを理解し、支援しようとする人のことを指します。LGBT当事者であってもなくてもアライになることができます。大阪大学ではセクシュアル・マイノリティに対して「敵か味方か」という枠組みでアライを捉えるのではなく、性的指向、性自認の多様性を当たり前に尊重し、互いに認め合える同盟者でありたいという意味を込めSOGIアライという用語を用いています。

●アンコンシャス・バイアス

「無意識のバイアス – Unconscious Bias -」とは、誰もが潜在的に持っているバイアス(偏見)のことです。育つ過程で知らず知らずのうちに脳にきざみこまれ、固定観念となっていきます。 出典:「無意識のバイアス – Unconscious Bias – を知っていますか?」リーフレット 男女共同参画学協会連絡会著(2017) ホームページ:https://djrenrakukai.org/doc_pdf/2019/UnconsciousBias_leaflet.pdf

●ポジティブアクション

一般的には、社会的・構造的な差別によって不利益を被っている者に対して、一定の範囲で特別の機会を提供することなどにより、実質的な機会均等を実現することを目的として講じる暫定的な措置のことをいいます。積極的改善措置とも表現します。

●クオータ制

ポジティブアクションの手法の一つであり、男女間格差を是正する方策で、性別等を基準に一定の人々や比率を割り当てる制度のことを指します。

大阪大学 ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)推進宣言
Osaka University Diversity & Inclusion (D&I) Declaration

大阪大学男女協働推進宣言

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