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2020年度 第15回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を坂上沙央里助教が受賞

大阪大学大学院 医学系研究科 遺伝統計学 坂上沙央里助教が2020年度 第15回 「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」を受賞しました。

「ロレアル – ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」は、2005年11月、日本ユネスコ国内委員会との協力のもと、ロレアルグループの日本法人である日本ロレアル株式会社により、創設されました。

生命・物質科学分野における博士後期課程に在籍あるいは、博士後期課程に進学予定の若手女性科学者が、国内の研究・教育機関で研究を継続できるよう、奨励、助成することを目的としています。

この度、2020年度 第15回「ロレアル-ユネスコ女性科学者 日本奨励賞」の受賞者4名が選出され、大阪大学大学院医学系研究科の坂上沙央里助教が生命科学分野で受賞しました。

詳しくはこちらをご覧ください。

坂上 沙央里 助教 (大阪大学大学院 医学系研究科遺伝統計学)
◆受賞者コメント
私の研究は、いろいろなデータを観察し自由な発想を生かして解析するところから出発し、ときには最初に予想していた場所とは違う場所にたどり着くこともありました。自分が面白いと思う研究結果を、周りの人たちを巻き込みながら遠い世界の人にまで発表できる機会をいただいたことは、本当に貴重で何物にも代えがたい楽しい経験でした。このような賞をいただき大変光栄に思うと同時に、これまでご指導や共同研究してくださった先生方に深く感謝申し上げます。これからも謙虚に一歩ずつ楽しく研究を続けていきたいと思います。
受賞理由 大規模ヒトゲノム解析により、日本人集団のゲノムの多様性を明らかにし、またヒトの健康寿命・病気リスクに関連するバイオマーカーの特定に貢献
研究テーマ 大規模ゲノム情報を疾患基盤の解明・臨床応用に役立てるための新規解析手法の開発と国際共同研究の遂行
研究内容 全ての生き物の細胞の設計図であるゲノムは、ATCGのたった4種類の塩基の並びで構成されています。ヒトゲノムは30億の塩基の並びからできており、アフリカで誕生した最初の現生人類から変化を繰り返しながら受け継がれてきました。2001年に「ヒトゲノム計画」が終了し、歴史上はじめてヒトの全遺伝情報が解読されました。この20年でゲノムの解析にかかるコストが劇的に低下し、どの部分に遺伝的変異があると疾患の発症と関連するか、数百万人規模で網羅的に調べることが可能となりました。ゲノムが人間の設計図なら、ゲノムの解析が終わればあらゆる病気の発症が予測でき病態も解明されるようにも思われましたが、実際にはまだかなり道半ばです。ゲノム研究を本当に病気の理解と治療に役立てるための大きな課題として、生まれついてのゲノム情報が複雑な疾患を形作るまでのメカニズムが不明であること、そしてゲノム情報を臨床現場での診療に役立てる方法論が確立されていないことが挙げられます。

私は大学院での研究を通して、ゲノム解析を用いた健康長寿バイオマーカーの発見(Nature Medicine 2020; 図1)、機械学習という新しい解析手法を用いた日本人のゲノム多様性の解明と、ゲノムによる病気のリスク予測に与える影響の評価(Nature Communications 2020; 図2)、ゲノム情報と実験生物学の情報との統合解析を行う解析手法の開発(Nucleic Acids Research 2018)、ゲノム解析を活用したドラッグ・リポジショニングに関するソフトウェアの開発(Bioinformatics 2019)など多岐に渡る研究を行いました。これらは、これまでのゲノム研究の成果を、より生物学的な理解・臨床現場での活用に近づける世界的に見ても独創性の高い研究成果と考えています。

図1. ゲノム解析を用いた健康長寿バイオマーカーの発見図

図2. 機械学習という新しい解析手法を用いた日本人のゲノム多様性の解明と、ゲノムによる病気のリスク予測に与える影響の評価

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