全国ダイバーシティ・ネットワークダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ(牽引型)

令和3年度 大阪大学女子大学院生優秀研究賞の表彰式が行われました

本学では、優秀な女子大学院生が博士後期課程進学及び将来的に研究者を志すことの後押しとなるよう、自然科学系研究科に所属し優れた研究成果を挙げた女子大学院生を表彰する「大阪大学女子大学院生優秀研究賞」を令和元年度より実施しています。

本賞の令和3年度表彰式が、去る4月19日(火)に大阪大学銀杏会館3階 阪急電鉄・三和銀行ホールにて執り行われ、本賞を受賞した14名の女子大学院生に表彰状と副賞の目録が手渡されました。その後、西尾総長から受賞した女子大学院生へお祝いの言葉が述べられました。

最後に、この賞の創設にご尽力をいただいた本学名誉教授・元工学研究科長 豊田政男先生より、受賞者に向けて、お祝いと今後の期待の言葉が贈られました。

 

◆西尾総長からのメッセージ

女子大学院生/優秀研究賞を受賞された皆さんに、心よりお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。
この賞は、優秀な女子大学院生が将来的に研究者を志すことの後押しとなるよう、令和元年度に創設しました。厳正な審査を経て、受賞された皆さんのお顔を拝見し、必ずや将来の学術研究を担ってくださることを確信しました。
本学では、これまで女性研究者の研究力向上や、研究と生活が両立できる環境の整備に取り組んで参りました。その結果、本学における女性研究者割合は20%を超えるまでに向上しましたが、まだまだ女性研究者がマイノリティであるという状況に、変わりはありません。その状況を打破するため、本学では小学生からのすそ野の拡大を目指し、女子学生による実験教室を小学校で開催し、ロールモデルとして提示することで研究者への道を目指してもらえるようにするなど、様々な方法でアプローチします。また、組織全体の無意識の偏見、アンコンシャス・バイアスを払拭するため、全構成員必修のe-learning研修を開始しました。さらには、今年度から新たに、女性上位職/増加策をはじめとした女性研究者支援策を実施し、誰もが働きやすい環境整備に努めます。
このように私が様々な施策を進め、女性研究者割合の向上に真剣に取り組む理由、それは、ダイバーシティこそがイノベーションを創出する源になると信じているからです。これからも、この賞をはじめとした様々な施策により、女性研究者と、未来の女性研究者となる皆さんを、強力に支援してまいります。
最後になりましたが、本日の表彰が実現しましたのは、長年にわたり本学のダイバーシティ推進にご尽力いただいている、大阪大学名誉教授の豊田政男先生からのご厚情によるものです。このことに深甚なる感謝を申し上げるとともに、皆さんの今後ますますのご活躍をお祈りして、私からの挨拶といたします。本日は誠におめでとうございます。

◆豊田名誉教授からのメッセージ 女子大学院生優秀研究賞表彰を祝って
「美しい花を咲かせる大躍進を期待して」

女子大学院生優秀研究賞を受賞されました皆様にお祝い申し上げます。
本賞は,大阪大学の理系の博士課程に進学された,大きく発展する可能性をお持ちの女子学生の皆様を表彰しようとするものとして企画されました。本日受賞されました皆様は,優秀な成績で修士課程などを修了され,博士課程に進学された皆様ですが,この賞は,これまでの皆様の業績のみを評価するというよりは,今後博士課程で,理系の女性研究者として活躍していただくことへの期待を表すものです。
女性研究者が増えた・減ったと一喜一憂することのみでは意味がなく,般若心経では,不生不滅,不垢不浄,不増不減といって,生滅,垢浄,増減は「六不」といって実体がないものとして全て否定されています。変化とともに必要なのは多様性であり,多様な人材の今後の活躍で,研究環境が留まり・澱むことなく発展することが重要であり,そこで生まれる変化を見据えた適切な判断力と実践力が求められています。いま,その新しい道を拓くという展開を,皆様には期待されています。
皆様にとって,今は新しい研究活動の始まりといえます。この春の季節で,周りを見れば花の季節でもあります。例えば,桜は長い潜伏期をへて暖かくなった春に花を咲かせますが,花を咲かすまでの育つ長い期間があっての見事な開花なのです。皆様は,修士課程での萌芽期をへて,今や成長期に入られました。これからの成長期で,是非とも力強いという意味を持つ「美」をもつような花を咲かせてください。きっと皆様の研究成果が新しい価値を生み出す「美しい」ものとなることを確信しております。
受賞されました皆様が博士課程を修了して学位を得ることはもとより,我が国の理系研究を先導するような役割を担っていただきたく,今後の活躍に期待しつつ,お祝いの言葉とさせていただきます。

◆受賞者代表挨拶 (理学研究科 福留 美樹)

この度は、栄えある大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂きましたこと、および盛大な式典を催していただいたこと、心より光栄に存じます。受賞者を代表し、感謝とお礼を申し上げます。
本賞は、日本での理系の博士課程への女子学生の進学率が非常に少ないことから、将来の学術研究を担う女子大学院生の後押しとなるように、豊田政男先生、西尾総長をはじめとした皆様のご尽力により創設されたものであると知りました。女性研究者の躍進を理念とする本賞をいただけたことを大変嬉しく思います。
私の所属する学科では、女子比率が非常に少なく、その上、博士課程に進学する女子学生はさらに少ないという状況です。将来を考えるにあたってのロールモデルとなるような女性研究者の数も多くありません。そんな中、前途有望な女子学生として表彰していただき、大変励みになりました。また、表彰式の後で行われた研究発表会にて、自分がファーストペンギンになるには後の世代が続いていかないといけないという意見に感銘を受けました。私自身が研究者として活躍できるように努力するだけでなく、女性が研究しやすい環境作りにも意欲的に取り組んでいきたいと強く思いました。
現在、私は「asiam(アザイム)」という大阪大学の自然科学系の学部および研究科に在籍する女子学生を対象にしたネットワーク組織に所属しています。asiamでは学年、分野を超えた女子学生の交流の他に、小中高生に科学の魅力を伝えるイベントなどを企画しています。この活動を通して、女性研究者や女性リーダーとしての素養を醸成し、日本の科学技術分野における女性の地位向上に貢献できるように尽力する所存です。この度は誠にありがとうございました。

◆令和3(2021)年度 『大阪大学女子大学院生優秀研究賞』受賞者の声

※所属・学年は受賞決定時(2022年3月時点)のもの
氏名 所属 学年
研究課題名
福留 美樹
FUKUTOME Miki
理学研究科 物理学専攻 博士前期課程2年
16Nアイソマーの中性子剥離・反応断面積とハロー構造
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂き、大変嬉しく、光栄に思います。本研究を行うにあたって、ご指導いただいた福田光順 准教授、並びに原子核実験研究室の先生方に心より感謝申し上げます。
私は、陽子の数よりも中性子の数が多い、中性子過剰な不安定核の構造について研究しています。陽子と中性子の数が(ほぼ)等しい安定核では、原子核の大きさは質量数によって決まるという知見が得られていました。しかし、加速器技術の発達により、不安定な原子核の研究が可能になると、その常識に反するような現象が多く見つけられました。その一つに、1個または2個の中性子が、原子核中心から離れて広がって存在する原子核、中性子ハロー核が挙げられます。中性子ハロー核は基底状態では発見されていましたが、励起状態では未だ直接的に観測はされていません。修士課程の研究では、中性子過剰核16Nのアイソマー状態(寿命の長い励起状態)が中性子ハロー構造を持つことを定性的に実験で観測しました。今後は理論分野の方々と議論を深め、より深く理解を進めていきたいと考えています。
今回頂いた賞を励みにして、博士課程での研究活動におきましてもより一層精進していきたいと思います。
松田 彩那
MATSUDA Ayana
理学研究科 化学専攻 博士前期課程2年
細菌特有構造に着目したコアオリゴ糖部分構造の化学合成と機能
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂戴しまして、大変光栄に存じます。自分がこれまで研究に励んできた結果を評価いただけたことを大変嬉しく思うとともに、身の引き締まる思いがいたします。
自然免疫は、病原体由来分子が宿主受容体に認識されることで活性化される生体防御システムです。代表的な自然免疫活性化因子としてリポ多糖が知られており、私はリポ多糖に含まれる細菌特有構造の合成と機能評価に関する研究を実施しました。自然免疫への関与が示唆されているタンパク質ヒトインテレクチン1と化学合成したリポ多糖部分構造の相互作用解析を実施し、オリゴマンノシド骨格が認識されることを世界で初めて見いだしました。今後は得られた結果をもとに、免疫システムの分子基盤解明に貢献していきたいと考えております。
最後になりますが、本研究を進めるにあたり、ご指導ご助言いただきました教員の方々に改めて厚く御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
山口 明日香
YAMAGUCHI Asuka

理学研究科 生物科学専攻 博士前期課程2年
ショウジョウバエの左右性を決定するI型ミオシンにおいてキラリティ情報を担うドメインの探索
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂戴し、大変嬉しく、光栄に存じます。本研究の遂行にあたり、ご指導賜りました松野健治教授、共同研究者の皆様をはじめとして、多くの方にお世話になりました。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。
私は大学院入学後より、生物の左右非対称性に関する研究を行っています。ヒトはもちろん、自然界には生物の多様な左右非対称な構造が見られます。しかし、その形成メカニズムは不明な部分が多く、生物のからだができる仕組みを理解するうえで重要な課題のひとつです。私は、左右非対称性を示す、ショウジョウバエ胚消化管に着目し、その左右非対称性形成機構の解明に取り組んでいます。先行研究より、I型ミオシンが胚消化管の左右非対称性を司ることが明らかにされており、本研究では、左右非対称性決定の役割を担う、ミオシン分子の構造領域を同定することができました。今後、同定された領域がどのように胚消化管の左右非対称性を決定するかについて研究を進めたいと考えています。
この度の受賞を励みに、自信をもって、これからもより一層研究に邁進してまいります。
喜枝 美月
KISHI Mizuki
医学系研究科 医科学専攻 修士課程2年
新規免疫制御因子の遺伝子変異を伴う原発性免疫不全症候群の病態解明
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞を賜り、大変光栄に存じます。本研究を遂行するにあたりご指導いただきました鈴木一博教授をはじめ、ご協力いただきました鈴木研究室の皆さん、共同研究者の先生方に心より感謝申しあげます。
原発性免疫不全症候群は、遺伝子の異常により生まれつき免疫機能が低下する難病であり、未だ原因不明で適切な診断や治療を受けることができない患者さんが数多く存在します。私は、鈴木研究室で新たに同定された免疫制御因子の遺伝子に変異を有する原発性免疫不全症候群患者を発見し、この遺伝子変異が免疫制御因子の機能を低下させることを明らかにしました。今後は、同定した遺伝子変異がどのようにして原発性免疫不全症候群の病態を形成するのか、そのメカニズムを明らかにすることで、原発性免疫不全症候群の患者さんに新たな診断法と治療法を届けたいと考えております。
この度の受賞を励みに、より一層研究に精進してまいります。
大畑 裕可
OHATA Yuka
医学系研究科 保健学専攻 博士前期課程2年
地域在住高齢者における身体的フレイル進展に影響するロコモティブシンドロームの意義
この度はこの度は大変光栄な賞を頂戴し誠に嬉しく存じます。日頃からご指導頂いております神出計教授をはじめとする先生方、研究室の院生の皆様、普段支えてくださっている家族・友人に心より感謝申し上げます。
私は高齢者の骨粗鬆症や変形性関節症などの骨関節疾患の有無と要介護状態の前段階に位置するフレイルとの関連についての研究を行っています。骨関節疾患の有無によりフレイルに陥る要因が異なっており、骨関節疾患なしの者ではうつ傾向や経済状況、教育歴など、精神・社会的要因が、一方骨関節疾患ありの者では骨関節疾患の治療や疼痛コントロール、転倒や骨折が影響している可能性が考えられ、これらの点に着目してフレイルを予防し高齢者の健康増進を考えていくことが重要ではないかと考えました。博士後期課程でも引き続き健康寿命の延伸に向けて、多角的な研究を進めていきたいと考えております。今回の受賞を励みとし、より一層研究に邁進する所存です。今後ともご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
澤谷 令香
SAWAYA Reika

医学系研究科 保健学専攻 博士前期課程2年
In-vivo Application of Inverse Z-spectrum Analysis in Chemical Exchange Saturation Transfer Imaging (CEST イメージングにおける逆 Z スペクトル解析の生体適用)
この度は名誉ある賞を賜り大変光栄に思います。これまでの研究成果が評価されたことを素直に嬉しく思うとともに、今後の研究活動に対しても身を引き締めて取り組みたいと思います。私は学部時代から前臨床用7T-MRIを用いた研究を行っています。MRIは生体内構造の画像化だけではなく、機能・代謝を測定することが可能であり多角的に疾病の評価が可能です。今回CESTという生体内代謝物のイメージング手法により精巣内のクレアチン濃度を非侵襲的に画像化することに成功しました。また、抗がん剤投与による精巣機能の低下を評価することが可能であることを示しました。動物を用いた前臨床研究では様々な病態モデルを使用し、ヒト臨床に先駆けた研究を行うことで医学の発展に大きく貢献することができると考えています。今年度から博士後期課程への進学と同時に診療放射線技師として病院就職をいたしました。臨床現場で得られる気づきを研究に活かし、さらなる成果に繋げたいと思っております。最後に、これまで多くのご指導を賜りました先端画像技術学研究室の皆様に厚く御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
石神 育歩
ISHIGAMI Ikuho

薬学研究科 創成薬学専攻 博士前期課程2年
腫瘍溶解性ウイルス(抗がん剤)であるレオウイルスによる肝線維化抑制機構の解明
この度は、名誉ある賞を頂戴し、大変嬉しく、光栄に思います。
腫瘍溶解性ウイルスとして臨床開発が進められているレオウイルスは、腫瘍細胞特異的に増殖し死滅させることが知られております。当研究室ではこのレオウイルスが肝線維抑制効果を有することを見出してきましたが、そのメカニズムについては明らかになっておりませんでした。そこで、私はメカニズムについて検討を行い、レオウイルスが静脈内投与後、線維化の発症に重要な肝星細胞に取り込まれ、線維化関連シグナル分子の発現抑制を介して治療効果を示していることを明らかに致しました。さらに、レオウイルス作用後、肝星細胞の機能が回復傾向にあることを明らかに致しました。今後はさらに詳細に検討を進めるとともに、その他の組織線維症に関しても研究を進めてまいりたいと考えております。
最後になりましたが、御指導、御鞭撻を賜りました水口裕之教授、櫻井文教准教授をはじめとする分子生物学分野の皆様、並びに多方面から支えてくれた家族に、心より感謝申し上げます。
李 玥璇
LI Yuexuan

工学研究科 機械工学専攻 博士前期課程2年
球殻状エアログラファイトマイクロ粒子の構造特性に関する基礎的研究
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞を賜り、大変光栄に思います。この栄誉は研究室の皆様、恩師の平原佳織先生をはじめ、これまで私を支えてくださった方々のおかげと感じております。
私が日本に留学したきっかけは、エアログラファイトという物質の構造と力学特性に興味を感じたことです。博士前期課程の研究では、エアログラファイトと同様の合成法で作られる、中空の炭素ナノロッドがユニークなシェル構造をなすマイクロ粒子の力学特性を調べてきました。電子顕微鏡内でこの粒子を1個ずつ操作しながらマイクロスケールの圧縮試験を行い、一定の成果をまとめることができました。最初はとても不安でしたが、平原先生に励まされて、日々の努力の積み重ねにより、新しい世界に飛び込んできました。ご指導いただいた平原先生に深く御礼申し上げます。この2年間、常に新しいことに挑戦するという研究の楽しさを味わい、「立派な研究者になりたい」という気持ちがより湧いてきました。これからも一層努力を重ねていきたく思います。
蔡 晶
CAI Jing

工学研究科 環境エネルギー工学専攻 博士前期課程2年
Aerobic biodegradation of various organic contaminants frequently found in groundwater by Pseudonocardia sp. D17
My research focuses on development of a water treatment technique through bioremediation using potential bacteria. In my master’s program, I studied the aerobic degradation of various organic contaminants frequently found in groundwater by Pseudonocardia sp. D17 in laboratory-scale experiment. After performing the ability of the bacteria in degradation of individual organic contaminants, our research will further expand the usefulness of the strain in bioremediation of groundwater polluted with multiple recalcitrant organic contaminants. Based on the results gained from master’s program, we propose to study the performance of the bacteria to treat multiple recalcitrant organic contaminants under actual environmental settings.
It’s my great honor to have been awarded the Osaka University Graduate Student Excellent Female Researcher Award. Since the pandemic outbreak in my hometown Wuhan, I experienced lockdown and missed half a year of experiments during my first year of master. I was worried if I could complete my research plan during my master. I am so grateful that there were a bunch of people who helped relieve my anxiety and suffering during the whole passed two years. Thanks to my professors and my lab members for their continuous support and encouragement. Also, I would like to express my special gratitude to Osaka University for encouraging researchers, especially female. I am really motivated by this award; I will devote more to my further research.
佐藤 祐理子
SATO Yuriko
工学研究科 マテリアル生産科学専攻 博士前期課程2年
静的つり合い理論とピンチ不安定性理論に基づく溶滴移行現象の数学モデルの提案
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という大変栄誉ある賞を賜り、光栄に存じます。推薦ならびに選出してくださった関係者の皆様方に厚く御礼申し上げます。また、このような評価をいただけたのは、懇切丁寧な御指導を賜りました佐野智一教授、荻野陽輔准教授、野村和史講師、研究への刺激や活力を与えてくださった所属研究室の皆様、研究生活をサポートしてくれた家族のおかげです。この場を借りて、心より感謝申し上げます。
私は、アーク溶接における電磁流体現象のモデル化に取り組んでいます。アーク溶接とは、1万度を超える高温のアークプラズマを熱源として金属を溶融・接合する技術です。本研究課題では、アークプラズマ雰囲気における溶融金属の挙動予測に繋がる数学モデルを新たに提案しました。
この輝かしい賞の受賞者として賞の名に恥じぬよう、女子学生の良きロールモデルとなり得る女性研究者を目指し、日々精進を重ねてまいります。
西海 遥海
NISHIUMI Haruka
工学研究科 生物工学専攻 博士前期課程2年
Utility of three flow imaging microscopy instruments for image analysis to evaluate four types of subvisible particles in biopharmaceuticals
この度は、大阪大学女子大学生優秀研究賞を頂戴し、大変光栄に思います。
私は、内山進教授のご指導の下、抗体医薬品における粒子の分類法の開発について研究しております。抗体医薬品に含まれる粒子の中には、有害性のある粒子や、無害とされている粒子が混在しています。しかし、それらの粒子は形態学的に類似しているため、一つ一つの粒子の正体を判明させることは困難でした。そこで本研究では、画像解析を用いることで粒子の分類可能性を示すことができました。今後もさらなる研究を重ね、より精度の高い粒子の分類法の開発に貢献できるよう精進してまいります。
最後になりますが、このような素晴らしい賞を頂けたのは、熱心に指導してくださった先生方など、私を支えてくださった全ての方々のおかげでございます。この場を借りて熱く御礼申し上げます。皆様への感謝の気持ちを決して忘れることなく、これからもより一層研究に励む所存でございます。
田坂 理英子
TASAKA Rieko
基礎工学研究科 システム創成専攻 博士前期課程2年
Fused LassoにおけるSpacing Testに関する研究
今回、大阪大学女子大学院生優秀研究賞を賜り、大変光栄に存じます。お忙しい中選出・評価をしていただいた方々に感謝を申し上げます。このような栄誉ある賞をいただけたのは、ご指導いただいております鈴木讓先生をはじめとした研究室の皆様のご助力あってのことです。この場をお借りして厚く御礼を申し上げます。
私は、スパースな線形回帰であるLassoに対して提案されていたSpacing Testという選択後の推測(Post-Selection Inference)を、Fused Lassoに拡張することで、Fused Lassoにおける適切なモデルを検定により決定することを提案しました。今後は、Generalized Lassoといったより一般的な枠組みにおいても同様の決定が可能かどうか、検討を進める予定です。改めまして、このような賞をいただき嬉しく思うとともに、今回の受賞を励みにして,より一層研究に邁進していく所存です。
真壁 莉里花
MAKABE Lilika
情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 博士前期課程2年
高精度2D-3Dレジストレーション
このたびは、このような名誉ある賞を賜り,大変光栄に存じます.
本研究は色情報をもたない三次元形状に,画像を用いて色づけを行うことを研究目的としています.三次元形状の計測は,3Dスキャナ等の普及により身近な存在になっていますが,一方でその原理上色情報を取得できないという問題があります.このようなテクスチャのない三次元形状に対し,同一物体を撮影した画像を用いて色付けを行うことを考えると,各画像が先述の三次元形状に対しどの方向,どの位置から撮影されたのかを推定する必要があります.この問題は画像と三次元形状の位置合わせ,2D-3Dレジストレーションと呼ばれます.本研究では,画像上とテクスチャを持たない三次元形状上の両ドメインにおいて検出可能なマーカとその検出器を作成することで,高精度な2D-3Dレジストレーションを可能にしました.
今回の受賞を励みに,より一層研究活動に邁進していく所存です.
最後になりますが,指導教員の松下康之教授,大倉史生准教授,山藤浩明助教授,選考に携わられた皆様,日頃よりお世話になりました皆様に心より御礼申し上げます.今後とも変わらぬ御指導の程よろしくお願い申し上げます.
倉谷 歩見
KURATANI Ayumi
生命機能研究科 生命機能専攻 5年一貫制博士課程2年次
シングルセル解析による腫瘍特異的なマクロファージの同定
この度は、名誉ある賞を頂きまして大変光栄に感じております。指導教員の山本雅裕先生を始めとした研究室の皆様、日ごろからお世話になっております方々に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
私は腫瘍内の免疫細胞であるマクロファージに着目して研究を行ってきました。マクロファージには免疫活性化に関与するものと免疫抑制的に働くものの2種類存在することが明らかとなっています。しかし、腫瘍という様々な細胞が存在する複雑な環境において、マクロファージは単純に2種類に分類されるのではなく、様々な亜集団が存在するのではないかと考えました。そこで新技術であるシングルセルRNA-seqを用いて腫瘍内のマクロファージの遺伝子発現を一細胞レベルで解析を行い、これまでに知られていなかったマクロファージの腫瘍内での挙動を明らかにしました。腫瘍内のマクロファージ亜集団の機能解明は、マクロファージの腫瘍免疫学における新しい役割の解明と、腫瘍内マクロファージをターゲットとした新規抗腫瘍薬の開発に貢献できると期待しています。
今後も本受賞を励みにより一層研究活動に邁進したいと思います。

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