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本学では、優秀な女子大学院生が博士後期課程進学及び将来的に研究者を志すことの後押しとなるよう、自然科学系研究科に所属する優れた研究成果を挙げた女子大学院生を表彰する「大阪大学女子大学院生優秀研究賞」を令和元年度より実施しています。
本賞の令和5年度表彰式が、去る4月18日(木)に大阪大学コンベンションセンターにて執り行われ、本賞を受賞した14名の女子大学院生に表彰状と副賞の目録が手渡されました。
その後、西尾総長から受賞した女子大学院生へお祝いの言葉が述べられました。
続いて、医学系研究科の田村明音さんより受賞者代表の挨拶が行われました。研究成果を評価されたことへの喜びと感謝とともに、女子学生のロールモデルとなるよう、今後の研究活動により一層邁進する決意が述べられました。
最後に、この賞の創設にご尽力をいただいた本学名誉教授・元工学研究科長 豊田政男先生より、受賞者に向けて、お祝いと今後の期待の言葉が贈られました。
◆西尾総長からのメッセージ
女子大学院生優秀研究賞を受賞された皆さんに、心よりお祝い申し上げます。誠におめでとうございます。
この賞は、優秀な女子大学院生が研究者を志すことの後押しとなるよう、令和元年度に創設しました。
皆さんは、自身の研究成果を高く評価され、所属研究科長より推薦を受け、厳正な審査を経て、受賞されました。
本日、自信に満ち溢れた皆さんのお顔を拝見し、必ずや将来の学術研究を担ってくださることを確信しました。
本学では、これまで女性研究者の研究力向上や、研究環境の整備に、鋭意取り組んで参りました。
その結果、本学における女性研究者割合は21%を超えるまでに向上しましたが、まだまだ女性研究者がマイノリティであるという状況に、変わりはありません。
その状況を打破するため、ここにいる皆さんが、ロールモデルとしてご活躍いただける環境の実現はもとより、未来の女性研究者を育てる「すそ野拡大」の取組などを幅広く、より一層、力強く推進していきます。
女性活躍を妨げる要因として、無意識の偏見、アンコンシャス・バイアスが挙げられます。
そこで、昨年12月には、女子中高生と保護者に向け、大阪大学の女子学生、卒業生からのエールや、学生生活の様子などを紹介する広報誌「will」(ウィル)を発行しました。
私は、女子学生や女性の研究者に、これまで以上にスポットライトを当て、本学が性別に関わらず活躍できるキャンパスであることを、広く社会に発信していきたいと考えています。
こうした地道な努力の積み重ねにより、社会全体のアンコンシャス・バイアスを払拭することができると確信しています。
このようなことを私が進める理由、それは、多様性の確保と受容、実質的な平等をもたらすことのできる公正性、すなわちダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンこそがイノベーションを創出する源になると信じているからです。
これからも、様々な方策を通じて、女性研究者と、未来の女性研究者となる皆さんを、強力に支援してまいります。
最後になりましたが、本日の表彰、特に副賞の授与が実現しましたのは、長年にわたり本学のダイバーシティ推進に多大なるご尽力いただいております、大阪大学名誉教授の豊田政男先生からのご厚情によるものです。
このことに深甚なる感謝を申し上げるとともに、皆さんの今後ますますのご活躍をお祈りして、私からの挨拶といたします。
◆豊田名誉教授からのメッセージ
女子大学院生優秀研究賞表彰を祝って
~創造への期待~
女子大学院生優秀研究賞を受賞されました皆様にお祝い申し上げます。本賞は、大阪大学の理系の博士課程に進学された、大きく発展する可能性をお持ちの女子学生の皆様を表彰しようとするものとして企画されました。優秀な成績で博士課程に進学された皆様ですが、この賞は、皆様のこれまでの業績を評価するとともに、更に博士課程で女性研究者としてますますの発展を期待するものです。
いま皆様に求められていることは、大阪大学の理系の各分野での創造的な成果を上げられ、先導的な役割を果たされることと思います。皆様に求められている創造とは何でしょうか。スペインの建築家アントニ・ガウディが「創造は人間を通して休み無く続けられる。しかし、人間は創造するのでなく発見するのである。模写するものは、創造を享受しない。創造の基本となる独創性とは原点に戻ることである。」と書いています。そうです、創造とは原点に返ることで、ある意味誰もがなし得ることであるでしょう。ただ、創造するためには良い環境に恵まれることであり、充分な基礎の上に現れるものです。皆様は大阪大学大学院という素晴らしい環境に巡り会い、よき指導者のもとで研究活動ができる条件に恵まれました。
そうです、今新しいフェーズにたたれ、皆様の潜在的な力が評価され、新しい科学を生み、創造性ある「思考や技術」が生まれてくる土壌を作り出されるものと期待しております。きっと皆様の活力が生み出す研究成果が新しい価値を生み出すものとなるものと確信しております。また、学位を得ることは研究活動の評価の結果だけではありません。これから博士課程で研究を進められると共に、周りに誇れるだけの「リベラルアーツ」、すなわち教養も獲得されることも期待しています。受賞されました皆様が学位を得られることはもとより、我が国の理系研究を先導し、また、女性研究者としての優れたキャリアパスを示して頂きたく、今後の活躍に期待しつつ、お祝いの言葉とさせていただきます。
◆受賞者代表挨拶 (田村 明音)
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。そしてこのような素晴らしい表彰式を開催いただきましたことに、受賞者を代表いたしまして、心より感謝と御礼を申し上げます。
本賞は、将来の学術研究を担う女性研究者の育成と、女性研究者としての今後の活躍への期待を込めて、本学名誉教授・元工学研究科長である豊田政男先生のご寄付で、西尾総長をはじめとした皆様のご尽力により創設された賞であると伺いました。本賞の受賞におきまして、研究の発展性も含めて評価いただけたことは、この上ない喜びであると同時に、研究活動を通して社会に貢献できるよう、一層の研鑽を重ねて研究を発展させたいという志と自信に繋がりました。
私は助産師として働く中で、悩みながら孤独に育児をしている母子に寄り添いたい、更に言えば、自分が直接関わる母子だけでなく、妊娠・出産・育児をする女性皆が、心身共に豊かに暮らせる社会を実現したいと考え、本学大学院に進学しました。研究者としてはまだ未熟ですが、研究で知見を深めて社会に発信することで、助産師が実践するケアの充実を図り、母子の子育て経験を豊かにすることを目指しています。本賞の受賞を励みとし、研究活動に邁進し、後に続く研究者を目指す女性のロールモデルとして活躍できるよう、そしてダイバーシティ&インクルージョンの推進に寄与できるよう、尽力していく所存です。
最後になりましたが、研究に際しお力添えいただきました皆様方に、この場をお借りして心より感謝申し上げます。
本日は、誠にありがとうございました。
◆令和5(2023)年度 『大阪大学女子大学院生優秀研究賞』受賞者の声
氏名 | 所属 | 学年 |
研究課題名 | ||
西村 里桜NISHIMURA Rio | 理学研究科 化学専攻 | 博士前期課程2年 |
メチン架橋トリカルコゲノフェンの立体構造評価および構造へのカルコゲン相互作用の影響について | ||
この度はこのような名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。 所属している物性有機化学研究室ではこれまで主に環状化合物に関する研究が行われてきました。そのため非環状化合物を対象とした本研究は合成から立体構造評価に至るまで、試行錯誤の連続でした。特に実験開始当初、立体構造評価の際にデータの再現性が取れず、幾度となく条件検討したことを今でも鮮明に覚えています。後に、再現性が取れなかった原因は環状化合物では見られない光による立体構造変化であることを明らかにしました。度重なる試行錯誤の中でここまで研究を進めてこれたのは、ご指導いただいた物性有機化学研究室の先生方をはじめ、研究室の学生の皆様、これまでの研究生活で出会ったすべての先生方、友人のおかげです。この場を借りて心から感謝申し上げます。博士後期課程に進学後も今回の受賞を励みに、より一層研究に邁進してまいります。 |
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金田 紗苗 KANETA Sanae |
理学研究科 生物科学専攻 | 博士前期課程2年 |
シロイヌナズナの側根原基形成が開始される際に細胞極性が生じる仕組みに関する研究 | ||
この度は名誉ある賞を頂き大変光栄に存じます。学部2年生の頃からたくさんのご指導を頂いております柿本辰男教授をはじめ植物生長生理学研究室の皆様、学会や若手の会等で関わって下さっている皆様、この賞に推薦頂きました関係者の皆様に厚く感謝申し上げます。 多細胞生物の器官発生には、個々の細胞が周囲の細胞との位置関係に応じて新規に細胞極性を生じることが重要です。私たちは双子葉モデル植物シロイヌナズナの側根原基形成過程に着目し、均一な細胞が並ぶ内鞘組織から側根原基形成に先立って決まった方向に細胞極性が生じる仕組みを明らかにすることを目的として研究を行っています。本研究ではこれまでに、植物ホルモンのオーキシン処理下で側根原基形成開始時に見られる核の極性をもった移動を定量的に評価する方法を確立しました。この定量法を用いることで、側根創始細胞の極性形成に重要な要素が分かりつつあります。 今回の受賞を励みに、今後より一層研究に精進していきたいです。 |
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𠮷本 紗良 YOSHIMOTO Sara |
医学系研究科 医科学専攻 | 修士課程2年 |
複数のエボラウイルス種に有効な次世代ワクチンの開発に向けた基盤研究 | ||
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂戴し、大変光栄に存じます。これまで研究に励んできた結果をこのような形で評価いただけたことを誠に嬉しく思います。本研究を進めるにあたり、ご指導賜りました渡辺登喜子教授をはじめ、研究室の皆様、共同研究者の先生方、並びに支えて頂きました多くの方々に感謝申し上げます。 私は渡辺研の1人目の学生として配属されました。先輩がおらず、右も左もわからない中で研究室の先生方からのご助言と激励を頂きながら成長することができました。 これまでの研究室生活を振り返ると、本当に多くの方々に支えて頂いたことに感謝が尽きません。 最後に重ねてではございますが、ご指導ご助言頂きました多くの方々に深くお礼申し上げます。この度の受賞を励みに、今後もより一層、研究活動に邁進してまいります。 |
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森岡 千尋 MORIOKA Chihiro |
医学系研究科 保健学専攻 | 博士前期課程2年 |
在宅医療受療者における食形態と老年症候群 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂戴し、大変光栄に存じます。 私は在宅医療受療者における食形態と老年症候群に関する研究に取り組んできました。本研究により、在宅医療受療者における食形態の違いが、老年症候群、なかでも誤嚥性肺炎を生じさせる一因になっていることが示唆されました。今後は、在宅医療受療者の安全な食支援を実現するために、在宅医療においても実施可能な嚥下機能評価方法の開発に取り組んでいきたいと考えております。最後になりましたが、日々ご指導、ご鞭撻を賜りました神出計教授、呉代華容助教をはじめとする神出研究室の皆様、共同研究者の皆様、またこのような貴重な機会を設けてくださった大阪大学ダイバーシティ&インクルージョンセンターの皆様に心より感謝申し上げます。今回の受賞を励みに、博士後期課程においても努力を惜しまず、より一層研究に精進していく所存です。 |
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田村 明音 TAMURA Akane | 医学系研究科 保健学専攻 | 博士前期課程2年 |
活動強度に着目した産後2週間の身体活動と疲労感との関連:前向き観察研究 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。ご推薦ならびにご選出いただきました関係者の皆様方に、心より御礼申し上げます。また本研究を遂行するにあたり、日々ご指導いただきました遠藤誠之教授、松﨑政代教授、藤井誠特任准教授、中本剛二特任講師、研究室の皆様方に深く御礼申し上げます。 今回、産後の心身の回復過程はその後の女性の人生や育児、家族関係に影響を及ぼすのではないかと考え、産後2週間の活動量と疲労感に着目して研究を行いました。今後は本研究の結果を踏まえて、産後の活動量が及ぼす長期的な影響について調査を重ね、妊娠・分娩・産後が女性にとってより豊かな経験となるよう、助産学の研究者として、また助産師として必要なケアを社会に還元していきたいと考えています。 この度の受賞を励みに、将来的に一人でも多くの母子の心身の健康に役立てるよう、今後も邁進してまいります。 |
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前 光結 MAE Miyu |
薬学研究科 創成薬学専攻 | 博士前期課程2年 |
光触媒を用いた硫黄原子隣接位への選択的重⽔素導⼊法の開発 | ||
この度は女子大学院生優秀研究賞を受賞することができ、大変光栄に感じています。日々の研究成果をこのような形で評価していただけたことが嬉しく思います。ご指導いただいている赤井周司教授、澤間善成准教授をはじめとする研究室の皆様、ならびに研究生活を支えていただいている家族や友人に感謝申し上げます。 私は、重水素を有機化合物に導入する反応の開発に取り組んできました。近年、重水素を導入した化合物は重医薬品や重水素タグを用いた分子イメージングなどで注目されています。私は従来法では適用困難なメチオニンやビオチンなどの含硫黄化合物への重水素導入を光触媒を用いることで成功しました。 私は、博士前期課程から大阪大学薬学研究科に進学し、自分の研究力不足に悩み、将来に不安を感じることもありました。しかし、今後も研究を継続していくうえで、今回の受賞はとても励みになりました。また、有機合成系の研究室では特に女性の割合が少なく、女性研究者の活躍実現を目的とした取り組みに感謝いたします。将来研究者として活躍できるよう日々努力し、成長したいと思います。 |
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髙橋 咲良 TAKAHASHI Sakura |
工学研究科 応用化学専攻 | 博士前期課程2年 |
遷移金属触媒によるアルケンの位置選択的二官能基化反応 | ||
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という栄誉ある賞を頂戴し、大変光栄に思います。関係者の皆様方に厚く御礼申し上げるとともに、ご指導いただいております阿野勇介先生、鳶巣守先生、茶谷直人先生をはじめとする研究室の皆様のご助力に対して心より感謝申し上げます。 私はパラジウムなどの遷移金属触媒を用いた新しい有機合成反応の設計・開発を行っています。特に遷移金属触媒を用いた不飽和結合への炭素官能基の付加反応は、新しい炭素骨格を原子効率100%で構築することができるため有用です。しかし、不飽和結合への付加反応は位置選択性の制御が難しく、二つの炭素の両方に官能基が導入される1,2-二官能基化反応以外の形式の反応例は依然として限られています。本研究では、導入する炭素官能基による中間体の安定性を利用することで選択的に1,1-カルボオキシ化生成物が得られることを見出しました。博士後期課程でも今回の賞に恥じぬように、より一層研究活動に邁進していきます。今後もご指導のほどをよろしくお願いいたします。 |
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市倉 ひなの ICHIKURA Hinano |
工学研究科 機械工学専攻 | 博士前期課程2年 |
Ball-on-Clothシステムに基づくIn-Handマニピュレーション | ||
この度は、このような光栄な賞を頂き、誠に嬉しく思います。ご指導ご鞭撻を賜りました東森充教授、東森研究室の皆様、そしてこれまで支えていただいた家族および友人に厚く御礼申し上げます。 私は、柔軟素材を用いたロボットマニピュレーション技術の研究を行っております。自動化システムが産業分野で現在普及しつつあるものの、主にグリッパハンドを用いた単純な作業に限定される傾向にあり、器用性が求められる作業では自動化が進みにくいことが現状として挙げられます。本研究では、柔軟素材をハンドに用いることで、器用な操作をより簡単にこなす技術の開発を目標とし、自動化の推進に貢献したいと考えております。 私の所属する機械工学専攻は女性比率が少ないということもあり、今回の受賞が、同じような環境で学ぶ他の女子学生の励みになれば幸いです。今後とも研究活動に邁進してまいります。 |
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趙 梓茜 ZHAO Zixi |
工学研究科 環境エネルギー工学専攻 | 博士前期課程2年 |
テラヘルツ時間領域エリプソメトリーによるワイドギャップ半導体の特性評価 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂戴し、大変光栄に存じます。そして、ご指導頂きました猿倉信彦教授、中嶋誠准教授をはじめ、平素からお世話になっている研究室の皆様、共同研究者の皆様にも心より感謝申し上げます。 フェムト秒レーザー技術の発展や次世代通信帯域の提案に伴い、テラヘルツ帯域における半導体評価技術の発展も重要な課題となっています。現在、テラヘルツ材料評価技術として広く使われているTHz-TDSは、精度の不足と限られるキャリア密度測定可能範囲という問題があります。そこで本研究では、レファレンスフリーなエリプソメトリーと非接触・非破壊なTHz-TDSを組み合わせて、高精度と高いキャリア密度半導体の測定可能なTHz-TDEを提案し、高いキャリア密度半導体の電気・光学特性評価に成功しました。 今回の受賞を励みとして、今後も材料評価技術の可能性を広げることに注力し、自信を持って研究を続けていきたいと思います。 |
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李 同瑶 LI Tongyao |
工学研究科 物理学系専攻 | 博士前期課程2年 |
Metasurface-assisted plasmonic tip for plasmon nanofocusing tip-enhanced Raman nanoimaging | ||
この度、大阪大学大学院女性研究者優秀研究賞を受賞できたことを大変光栄に思っています。ご指導いただいておりますPrabhat Verma先生、馬越貴之先生をはじめとする研究室の皆様、選考に携わられた皆様、日頃よりお世話になりました皆様に心より御礼申し上げます。 私の研究は、効率的なエネルギー伝達、近場光強化を実現する新しいプラズモンカプラを提案することです。先端増強ラマン分光法は、プラズモニックチップで生成される近接場光によって達成されるナノスケールの空間分解能の光学分析法を可能にします。近接場光を生成する手法の一つに、先端から遠く離れたプラズモンカプラーを照射することでナノサイズの光を生成するプラズモンナノフォトニックがある。現在使用されているグレーティングカプラは、エネルギー伝達効率が低い。メタサーフェイスに基づく新しいカプラーを設計することで、この状況を改善したいと考えています。 この度の受賞を励みに、より一層研究に精進してまいります。 |
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四方 志 SHIKATA Kokoro |
基礎工学研究科 物質創成専攻 | 博士前期課程2年 |
機能性材料の界面における水分子の水素結合ダイナミクスに関する分子動力学シミュレーション研究 | ||
この度は、大阪大学女子大学院生優秀賞という栄誉ある賞を賜り、光栄に思います。日ごろよりご指導いただいている松林伸幸教授、金鋼准教授をはじめとした研究室の先生方、議論してくださる学生の皆様にこの場をお借りしまして心より感謝申し上げます。 水環境下では多様な分子・材料が機能を発現します。生体適合性や防汚性を持つ高分子材料や、生体機能発現に関与する生体分子などがその例です。これらの材料界面には分子との相互作用によってバルクとは異なる性質をもつ水が存在し、機能発現に寄与すると考えられています。私は分子動力学シミュレーションを用いて水素結合状態とそのダイナミクスに着目した研究を行っています。ミクロスケールでの界面水の系統立った整理手法の開発と機能発現における水の役割に対する理解を目指しています。 今回の受賞を励みとしまして、よりいっそう研究に邁進してまいりたいと思います。 |
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加道 ちひろ KADO Chihiro |
情報科学研究科 マルチメディア工学専攻 | 博士前期課程2年 |
Solidityコンパイラ更新による脆弱性への影響調査 | ||
この度は名誉ある賞を頂戴し、誠に光栄に存じます。ご指導頂きました先生方、並びに日々の研究生活を支えてくださった研究室の皆様、家族や友人に深く感謝申し上げます。 近年急速に普及しつつあるブロックチェーンという分野において、世の中へのNFTの浸透と共に加速的に普及している技術としてスマートコントラクトが挙げられます。スマートコントラクトを開発するにあたり大多数の開発者に用いられているコンパイラでは脆弱性への対策が行われています。本研究では、実際のスマートコントラクトに対して実態調査を行い、その対策の有効性を明らかにしています。これにより、活発であるブロックチェーンという分野のさらなる発展が期待できると考えています。 これまでの研究活動が評価していただけたことに感慨を覚えると共に、この度の受賞は今後の研究活動への励みとなりました。博士後期課程という新たな環境においてより一層研究活動に邁進する所存です。 |
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一寸木 明日香 CHOKKI Asuka |
生命機能研究科 生命機能専攻 | 5年一貫制博士課程2年次 |
ホヤ幼生の遊泳方向変化の理解に向けた重力感知神経細胞の解析 | ||
この度はこのような名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。いつもご指導いただいている堀江健生教授をはじめ、本研究を進めるにあたり多大なサポートをいただきました研究室の皆さまに、この場を借りて厚く御礼申し上げます。 本研究は、ホヤ幼生の細胞数の少なさに着目し、その行動変容をもたらす神経回路基盤の全貌解明を目指したものです。ホヤは、幼生期の前後半で重力応答と光応答とを切り替えることで遊泳方向を変化させると考えられています。この現象を支える神経回路を解析するために、各感覚ニューロンにおける遺伝子発現を導くエンハンサー領域を単離しました。これをもとに、重力感覚器に付随するアンテナ細胞についてCa2+イメージングを行い、アンテナ細胞が重力感知細胞であること、遊泳方向の変化後も活動能力を有することを示しました。今後はアンテナ細胞を起点とする神経回路構造の同定に取り組む予定です。 今回の受賞を励みに、これからもより一層研究に邁進してまいります。 |
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德永 涼香 TOKUNAGA Suzuka |
生命機能研究科 生命機能専攻 | 5年一貫制博士課程2年次 |
気管支喘息における気道周囲マクロファージの機能解析 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞という名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。本賞の推薦および選出に携わった関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。これまでの研究成果を評価していただけたのは、御指導・御助言賜りました石井優教授、藤井健太郎助教を始め、日頃から多くのサポートをいただいた免疫細胞生物学教室の皆様のおかげです。この場を借りて、心より感謝申し上げます。 私は、自然免疫細胞の一つであるマクロファージ、特に空気の通り道である気道を裏打ちするように存在するマクロファージに着目して研究を行っています。博士前期課程では、このマクロファージが気管支喘息時にどのような機能を持つのかについて解析を行いました。その結果、このマクロファージには気管支喘息病態を抑制する機能がある可能性を示しました。今後は、このマクロファージがどのようにして病態を抑制しているのかをより詳細に解明したいと考えています。 今回の受賞を励みとして、より一層研究に精進してまいります。 |