令和6年度 大阪大学女子大学院生優秀研究賞の表彰式が行われました
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本学では、優秀な女子大学院生が博士後期課程進学及び将来的に研究者を志すことの後押しとなるよう、自然科学系研究科に所属する優れた研究成果を挙げた女子大学院生を表彰する「大阪大学女子大学院生優秀研究賞」を令和元年度より実施しています。
本賞の令和6年度表彰式が、去る4月23日(水)に大阪大学コンベンションセンターにて執り行われ、本賞を受賞した25名のうち24名の女子大学院生に表彰状と副賞の目録が手渡されました。その後、熊ノ郷総長から受賞した女子大学院生へお祝いの言葉が述べられました。続いて、工学研究科の守實友梨さんより受賞者代表の挨拶が行われました。研究成果を評価されたことへの喜びと感謝とともに、今後の研究活動により一層邁進する決意が述べられました。
最後に、この賞の創設にご尽力をいただいた本学名誉教授・元工学研究科長 豊田政男先生より、受賞者に向けて、お祝いと今後の期待の言葉が贈られました。
◆熊ノ郷総長からのメッセージ
女子大学院生優秀研究賞を受賞された皆さん、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。この賞は、優秀な女子大学院生がさらに研究者を志すことの後押しとなるよう、令和元年度に創設されました。皆さんは、優れた研究成果を上げ、それぞれの所属研究科から推薦を受け、厳正な審査を経て、この名誉ある賞を受賞されました。皆さんの日々の努力と研究への情熱に敬意を表するとともに、この素晴らしい機会に、その成果を称えることができる喜びを感じています。皆さんが積み重ねてこられた努力が、学問の進歩と新たな社会の創造に繋がることを確信しています。
本学では、これまで女性研究者の研究力向上や、研究環境の整備に取り組んで参りました。その結果、本学における女性研究者割合は22%を超えるまでに向上しましたが、まだまだ女性研究者がマイノリティであるという状況に、変わりはありません。この状況を打破し、女性研究者がその能力を最大限に発揮できる環境を構築することが、大阪大学ひいては日本の学術研究の未来にとって不可欠です。本学は、ここにいる皆さんが、後進の学生たちにとって輝かしいロールモデルとしてご活躍いただける環境の実現はもとより、未来の女性研究者を育てる「すそ野拡大」の取組などを幅広く、より一層、力強く推進していきます。
本日は、この表彰式のあと、本学の女性研究者による研究発表会、および受賞者の皆さんと女性研究者の先生方との交流会を開催いたします。交流会には、様々なご経験を積まれた教授の先生方に加え、過去にこの女子大学院生優秀研究賞を受賞され、その後本学の研究者としての道を歩み始められたばかりの若手の先生まで、幅広い世代・分野の先生方にお越しいただいています。先生方一同、本日の受賞者の皆さんとの交流を大変楽しみにしておられます。身近なロールモデルである本学の女性研究者、そして受賞者同士の交流を通じて、互いに刺激し合い、高め合うことのできる縦・横・ななめのつながりを積極的に構築していただきたいと願っています。「千日の勧学より一日の学匠」という言葉があります。千日間独学するより、たった一日、本当の一流の師との出会いがその後の運命を変えるという意味です。皆さんが、師や目標を共有する仲間と出会うことによって、今後の研究活動が一層充実したものとなり、将来、力強く社会に貢献していく研究者となられることを心から期待しています。
最後になりましたが、本日の表彰、特に副賞の授与が実現しましたのは、長年にわたり本学のダイバーシティ推進に多大なるご尽力をいただいております、大阪大学名誉教授の豊田 政男(とよだ・まさお)先生および西尾 章治郎(にしお・しょうじろう)前総長からのご厚情によるものです。この場をお借りして、両先生に深甚なる感謝を申し上げるとともに、皆さんの今後ますますのご活躍をお祈りして、私からの挨拶といたします。
◆豊田名誉教授からのメッセージ
女子大学院生優秀研究賞表彰を祝って
一時一所に全てを託す気概が道を拓く
女子大学院生優秀研究賞を受賞されました皆様にお祝い申し上げます。本賞は、大阪大学の理系の博士課程に進学された、大きく発展する可能性をお持ちの女子学生の皆様を表彰しようとするものとして企画されました。本日受賞されました皆様は、優秀な成績で修士課程などを修了され、博士課程に進学された皆様ですが、この賞は、これまでの皆様の業績のみを評価するというよりは、今後博士課程で、理系の女性研究者として活躍していただくことへの期待を表すものです。
春は花の季節です。「花は黙って咲き、だまって散ってゆく.そして再び枝にはかほらない(南禅寺前管長全慶師).」といわれ、花は一時一所に全てを託しているのである。今あなたたちは、大阪大学の理系の各分野の研究でトップを走り、また、よい研究環境のど真ん中におられ、大きな花をさかそうとしておられます。ただ、この一瞬をいかに生きるかが問われていて、すぐれた成果を花のように散らしてはならないのです。成果が生まれるのは、一時一所に全てを託す気概であり、十分に資格を持った皆様の今後の活躍に期待しております。今日この場で皆様に接し、きっと皆様のたくましい研究力が生み出す成果が新しい価値を生み出すものとなることを確信しております。
受賞されました皆様が博士課程を修了して学位を得ることはもとより、我が国の理系研究を先導するような役割を担っていただきたく、今後の活躍に期待しつつ、お祝いの言葉とさせていただきます。
◆受賞者代表挨拶 (守實 友梨)
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞という栄えある賞を賜り、大変光栄に存じます。受賞者を代表いたしまして心より御礼申し上げます。また、このような晴れやかな表彰の機会を設けていただきました関係者の皆様に、深く感謝申し上げます。本賞が本学名誉教授であり元工学研究科長の豊田政男先生のご寄付によって創設され、西尾章治郎前総長からのご寄附も加わり継続されているものであると伺い、将来を担う女性研究者への強い応援の意志と、ダイバーシティ推進への願いが込められていることに深い敬意を抱いております。そしてその理念のもと、私たちの研究が評価されたことはこの上ない喜びであり、後期課程をはじめ今後の学術活動への大きな励みとなりました。
私自身の研究テーマはホウ素中性子捕捉療法(BNCT)における深部がん治療計画の開発です。現在においても生存率の低い膵臓がんをはじめとする深部に位置するがん治療について、ホウ素と中性子を用いた体にやさしいがん治療法を用いた治療の実現を目指しております。がんと診断された際に絶望しなくて良い社会の実現に対して、工学面から貢献し続けていきたいと考えております。女性研究者の卵として、そして未来の研究を担う一人として、本賞の受賞は今ある自分の研究が、誰かの役に立てるかもしれないという自信につながりました。同時に、これからも謙虚に、そして主体的に学びを深め、社会に還元できる研究を続けていきたいと決意を新たにしています。
最後になりますが、日々の研究活動を支えてくださるすべての方々に改めて深く感謝申し上げます。これからも大阪大学の一員として、ダイバーシティ&インクルージョンの推進に微力ながら貢献していく所存です。本日は誠にありがとうございました。
◆令和6(2024)年度 『大阪大学女子大学院生優秀研究賞』受賞者の声
氏名 | 所属 | 学年 |
研究課題名 | ||
山田 千尋 YAMADA Chihiro |
理学研究科 物理学専攻 | 博士前期課程2年 |
COMET Phase-Iにむけたトリガーシステム安定性評価 | ||
この度はこのような賞をいただき、大変光栄に存じます。日頃よりご指導いただいている青木教授、上野准教授をはじめ、研究室の先生方、共同研究者の皆様に心より感謝申し上げます。 私が携わるCOMET実験は、素粒子標準模型では起こり得ないミューオン電子転換過程の観測を通じて新物理を探索する国際共同実験であり、茨城県東海村の大強度陽子ビーム施設J-PARCで準備を進めています。世界最高感度で探索するため、新たなビームラインや検出器を開発しています。 2026年度の測定開始を控え、現在は最終調整の重要な期間です。実験本番の環境に近づくにつれ新たな課題にも直面することもありますが、長年準備してきた実験の組み上げに携われることは非常に刺激的であり、研究生活は充実しています。 この度の受賞を励みに、今後も新物理探索に貢献できるよう邁進してまいります。 |
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鵜川 ひかり UKAWA Hikari |
理学研究科 生物科学専攻 | 博士前期課程2年 |
低酸素ストレスは細胞競合を破綻させることで発生システムを脆弱化させる | ||
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞を賜り、心より感謝申し上げます。日頃からご指導いただいている石谷太先生、龝枝佑紀先生をはじめ、研究生活を共にしてきた研究室の皆様に、深く感謝の意を表します。 私は、近年見つかった新たな生体防御機構である「細胞競合」の研究をしています。生物の発生過程では、不良な細胞が頻繁に、自然に生じることがわかっています。一方で、細胞競合は、そのように細胞集団に突発的に⽣じた不良細胞を細胞間コミュニケーションによって排除することで、生物の正常な発生を支えています。本研究では、環境ストレスが細胞競合を破綻させ、疾患発症リスクを高めることを発見しました。今後は、そのメカニズムとどのような疾患発症に関連しているかを詳細に調べていきたいです。そして、今回の受賞を一つのステップとして、多細胞社会の視点から生命現象の理解に貢献できる研究者を目指して、精進してまいります。 |
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山本 那菜 YAMAMOTO Nana |
理学研究科 高分子科学専攻 | 博士前期課程2年 |
好冷性緑藻Chlamydomonas priscuii由来フェレドキシンのX線結晶構造解析 | ||
この度は、名誉ある賞を頂戴し、大変嬉しく光栄に存じます。本研究の遂行にあたり、日々ご指導いただきました栗栖源嗣教授をはじめ、研究室の皆様および共同研究者の皆様に深く感謝申し上げます。 植物や藻類などの光合成生物は、極地から熱帯まで地球上のあらゆる環境に生息しています。こうした環境への適応の過程で、光合成を行う分子装置そのものを変えるのではなく、特定のタンパク質やその組み合わせを多様化させることで、効率的な光合成反応を達成しています。 本研究では、光合成において様々な酵素へ電子を伝達・分配するフェレドキシンというタンパク質に着目し、その構造と生物が生息する温度環境との関係を調べました。特に、南極に生息する緑藻が持つフェレドキシンについて、その構造と熱安定性を解析することで、低温適応に関わる細かな構造的特徴を考察しました。今後は、フェレドキシンの機能である電子伝達の仕組みについても研究を進め、光合成やタンパク質と温度の関係について、さらに理解を深めていきたいと考えています。 今回の受賞を励みに、今後もより一層研究に邁進してまいります。 |
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高 宇 GAO Yu |
医学系研究科 医科学専攻 | 修士課程2年 |
Investigation of the Role of Staufen in the Postnatal Lethality found in ADAR1 p110-deficient Mice | ||
この度は、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。私の研究成果がこのような形で評価されたことを心から嬉しく思います。ご指導をいただきました河原行郎教授と中濱泰祐助教に心より感謝申し上げます。また、色々と支えてくださった研究室の皆様にも感謝の意を表します。 私は、哺乳類の生存に必須なRNA編集酵素ADAR1 p110の制御機構の解明に取り組んでいます。ADAR1 p110欠損マウスは、通常、出生後まもなく死亡します。私は、ADAR1 p110によって通常阻害されるmRNA分解に関与するRNA結合タンパク質であるSTAU1とSTAU2を除去することで、この致死性を回避できるかどうかを解析した。その結果、これらのRNA結合タンパク質がどのようにADAR1 p110の機能に影響するのかについての知見を得ました。 この賞に励まされ、博士課程ではRNAバイオロジーの未解明の課題解明に引き続き邁進していきたいと思います。 |
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中山 清子 NAKAYAMA Seiko |
医学系研究科 医科学専攻 | 修士課程2年 |
主観的歩行速度による客観的歩行速度低値の予測及び予測モデルの比較 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞を頂戴し、大変光栄に存じます。ご推薦ならびにご選出いただきました関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。そして、日々ご指導いただきました川崎良先生、村木功先生をはじめとする、研究室の皆様に心より感謝申し上げます。 高齢者の歩行速度低下は、転倒や骨折、死亡との関連がこれまでに報告されていますが、実際に測定できる環境が広く整っているとは言えません。そのため、私は高齢者の歩行速度低下を主観的な歩行速度や、特定健康診査で得られるその他の検査結果から予測するモデルを作成することを目的に研究を行いました。この研究により、2件法による主観的な歩行速度でも、歩行速度の低下をある程度予測できる可能性が示されており、今後さらに社会に実装できるモデルを検討していきたいと考えています。今回の受賞を励みに、博士課程でもより一層研究に精進してまいります。 |
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廣瀨 瑠華 HIROSE Runa |
医学系研究科 保健学専攻 | 博士前期課程2年 |
PLR(睡眠モニタリングデータ)を活用した保健指導における地域在住高齢者の行動変容に関する探索的研究-質的記述的研究- | ||
この度は、このような名誉ある賞を賜り大変光栄に思います。このような形で日々の研究の成果を評価していただけたのは、日頃よりご指導いただいている竹屋泰教授、山川みやえ准教授、糀屋絵理子助教をはじめ、日々の研究生活を支えてくださった研究チームの皆様のおかげです。この場をお借りして心より感謝申し上げます。 私は、地域にお住まいの高齢者を対象に、睡眠モニタリング機器で取得したデータを活用し、レポートや保健指導によるフィードバックを行うことで、睡眠の観点から健康維持・増進や生活の質向上を支援する研究に取り組んでいます。特に、フィードバックを受けた高齢者が自身の睡眠や健康を改善するために行動を起こす際に経験する促進要因や障壁を明らかにし、行動変容のプロセスを理解することを目指しています。高齢者が豊かな生活を自律的に送れるよう、社会に還元していきたいと考えています。 今回の受賞を励みに、博士後期課程進学後も努力を惜しまず、一層研究活動に邁進してまいります。 |
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尹 侑真 YUN Yujin |
医学系研究科 保健学専攻 | 博士前期課程2年 |
放射線照射と過酸化水素の併用が腫瘍細胞に与える生物学的影響 | ||
このたびは女子学生優秀研究賞に選出していただき、大変光栄に思います。本研究では、がん細胞に対する放射線と過酸化水素の併用効果を検討し、細胞の低酸素環境を改善し、放射線感受性を向上させることを明らかにしました。この成果が、がん治療の新たな可能性につながることを願っています。 近年、女性が研究に取り組みやすい環境が整いつつあり、私自身も多くの方々の支えのもとのびのびと研究を続けることができました。特に、指導教員の先生方や研究室のメンバーと互いに励まし合いながら挑戦を続けてこられたことに感謝しています。これからさらに女子学生が研究に打ち込める環境を築いていくことが重要だと考えており、その一助となれるよう努力を続けていきたいと思います。 最後に、本研究を支えてくださった先生方、研究室の皆様、そして応援してくださるすべての方々に心より感謝申し上げます。 |
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團 彩花 DAN Ayaka |
医学系研究科 保健学専攻 | 博士前期課程2年 |
The association between HTRA1, a susceptibility gene for neovascular age-related macular degeneration (nAMD), and the expression of angiogenesis-related molecules | ||
このたび、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。本賞の推薦およびご選出に携わってくださった関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。また、日頃よりご指導いただいている辻川元一教授をはじめとした研究室の先生方、そして研究生活を支えてくださっている家族にも深く感謝申し上げます。 現在、遺伝子変異の眼科疾患病態への関連について明らかにするために、遺伝子組み換えゼブラフィッシュを用いた研究を行っています。本研究は、高齢者に見られる疾患である加齢黄斑変性を対象としています。今後の高齢化社会を見据え、本研究が重要なテーマであると考えており、得られた知見が社会貢献につながることを期待しています。博士後期課程進学後は新たにドライ解析にも挑戦する予定で、これも含めて、社会で活躍できる女性研究者を目指してより一層精進してまいります。 |
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劉 陽 LIU Yang |
医学系研究科 保健学専攻 | 博士前期課程2年 |
The Relationship Between Day Service Utilization and Care Level Deterioration Among People with Dementia in the Osaka National Health Insurance Database: A Retrospective Cohort Study | ||
このたびは、「大阪大学女子大学院生優秀研究賞」という栄誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。ご推薦ならびにご選出いただきました関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。また、本研究を進めるにあたり、日々ご指導を賜りました老年看護学研究室の竹屋泰教授、山川みやえ准教授、糀屋絵理子助教、大阪大学キャンパスライフ健康相談支援センターの土岐博特任教授、山本陵平教授、大山飛鳥特任助教、ならびに研究室の皆様方に、深く感謝申し上げます。 現在は、大阪府の国民健康保険データベースを活用し、認知症患者におけるデイサービス利用と介護度悪化との関連について研究を進めております。将来的に、デイサービス(DS)を、認知症患者に対する非薬物療法の効果を最大限に活用できる場と再定義することで、持続可能な認知症ケアシステムの構築につながるものと考えております。 このたびの受賞を励みに、今後博士後期課程においても一層努力を重ね、認知症ケアの質の向上と社会への貢献を目指し、研究に精進してまいります。 |
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IZZATI RAFIDAH
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薬学研究科 創成薬学専攻 | 博士前期課程2年 |
トランススケールスコープAMATERASによるがん希少細胞融合現象の動態解析 | ||
この度は名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。研究生の頃よりご指導くださった永井健治教授をはじめ、永井研究室の皆様、共同研究者の先生方、また、研究生活を支えてくださったINPEX教育交流財団、家族や友人に感謝を申し上げます。本研究がこのように高く評価されたことは、皆様のご指導と支援の賜物であり、深く御礼申し上げます。 私は、がん細胞とマクロファージの細胞融合という希少な現象の動態解析を目的とした研究に取り組んでいます。従来の顕微鏡観察では、視野の制限により稀少な細胞現象の検出が困難であるという課題がありました。本研究では、単一細胞レベルの識別を可能にしながら、数十万細胞を同時に観察できる超広視野トランススケールスコープ「AMATERAS」を用いることで、希少な細胞融合現象の効率的な検出および動態解析を実現しました。今後は、がん細胞とマクロファージが持つ特異な機能を明らかにし、がん転移の新たな予防法の確立に貢献できるよう、さらなる研究の深化に努めてまいります。 |
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森兼 志歩 MORIKANE Shiho |
工学研究科 生物工学専攻 | 博士前期課程2年 |
好熱性微生物由来のポリヒドロキシアルカン酸分解酵素の機能解析 | ||
この度は名誉ある賞をいただき、大変光栄に存じます。日頃からご指導いただいている本田孝祐教授、冨田宏矢准教授、宮崎健太郎特任教授をはじめ、分子微生物学研究室の皆様、また共同研究者の皆様に心より感謝申し上げます。 私が所属する研究室では、高温環境に生息する好熱菌など、特殊な環境に適応した微生物の機能を解明し、その知見を産業に応用することを目指しています。私自身は、微生物が生産する酵素に着目しており、特に生分解性プラスチックに関わる酵素の研究を行ってきました。研究の中で、生分解性プラスチックの一種であるポリヒドロキシアルカン酸を分解する酵素を精製し、その機能を解明することに成功しました。今後は、分解酵素の機能向上など、生分解性プラスチックの分解に関する研究をさらに深めていきたいと考えています。本受賞を励みに、博士後期課程での研究を一層精進し、社会に貢献できる成果を上げていけるよう努めてまいります。 |
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塚田 陽向子 TSUKADA Hinako |
工学研究科 生物工学専攻 | 博士前期課程2年 |
CHO細胞における一過性発現を用いた膜タンパク質の大量発現系の構築 | ||
この度、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という殊勲の栄誉を賜り、心より御礼申し上げます。本賞の受賞は、日々温かいご指導と激励をいただいている大政健史先生、山野範子先生をはじめ、共に議論を重ね、切磋琢磨した研究室の仲間や、研究活動を支えてくださった家族の存在あってこそ実現したものです。 これまでの研究では顕著な成果を出すことはできておりませんが、これを一つの節目とし、今後も新規的な発見を目指し研究を進めるとともに、研究を通じて得られた知識や経験を活かし、より広い視野を持って学びを深めていきたいと考えております。また、研究の楽しさを教えてくださった先生方には、心より感謝申し上げます。未知の課題に挑戦し、新しい知見を得る過程で得られる喜びこそが、研究者としての原動力であると実感しております。 今後も、受賞の喜びを胸にさらなる探究と社会貢献を目指し、精進してまいる所存です。ここに改めまして、日々のご指導とご支援に深く感謝申し上げ、皆様のご期待に応えるべく、邁進していく決意を表明いたします。 |
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松本 紗耶未 MATSUMOTO Sayami |
工学研究科 応用化学専攻 | 博士前期課程2年 |
ホスフィンによるメチレンシクロプロパンの開環を利用した塩基フリーWittig反応の開発およびその応用 | ||
この度は、大阪大学女子大学院優秀研究賞という栄誉ある賞を賜わり、大変光栄に存じます。日頃よりご指導いただいております芝田育也先生、角井伸次先生をはじめとする芝田研究室の皆様のご助力に対して心より感謝申し上げます。博士後期課程では、現在の研究テーマをより深く探求し、新たな合成法の開発に取り組みたいと考えています。今回の受賞に恥じぬよう、より一層研究活動に邁進してまいります。 | ||
楊 惠詩 YANG Keishi |
工学研究科 物理学系専攻 | 博士前期課程2年 |
高速原子間力顕微鏡/ラマン分光マルチモーダル計測装置の開発 | ||
この度は、名誉ある大阪大学女子大学院生優秀研究賞を賜り、誠にありがとうございます。日頃からご指導いただいておりますバルマ・プラブハット教授、馬越貴之講師をはじめとする研究室の皆様、並びに推薦・選出いただいた皆様に感謝を申し上げます。 私はこれまで、高速原子間力顕微鏡(高速AFM)とラマン分光法を組み合わせたマルチモーダル計測装置の開発に取り組んでまいりました。この装置は、生体分子の構造変化と化学結合変化を同時に観察することを可能にし、生体機能の詳細な解明に寄与することが期待されています。博士後期課程においても、社会に貢献できる研究を追究していく所存です。 本賞の受賞は、私の研究活動を評価していただいたことへの喜びとともに、今後の研究者としての責任を強く感じる機会となりました。本賞のご関係者の皆様には、女子大学院生の研究活動を後押ししていただき、心より御礼申し上げます。ダイバーシティ推進の一翼を担う女性研究者になれるよう、今後も研究活動に邁進してまいります。 |
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齊藤 光郁 SAITO Mitsuka |
工学研究科 マテリアル生産科学専攻 | 博士前期課程2年 |
薬剤送達によるタンパク質活性化に基づく骨基質配向化制御 | ||
この度はこのような名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。本研究を進めるにあたり、ご指導賜りました中野貴由教授、松垣あいら准教授をはじめとする研究室の皆様、ならびに支えていただきました多くの方々に感謝申し上げます。 私は薬剤送達により生体内でタンパク質を活性化することでの骨基質配向化制御を目指し研究を行っています。生体の荷重を支持する重要な役割をもつ骨の強度は、骨密度よりも「骨配向性」(骨を構成する生体アパタイト結晶/コラーゲン線維の向き)によって大きく支配されています。本研究では、特定の薬剤によって確認されている骨脆弱化の原因が、骨中のタンパク質の活性にあることを材料学的アプローチよりはじめて明らかとしました。 今回の受賞を励みに、博士後期課程においても努力を惜しまず、より一層研究活動に邁進してまいります。 |
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森 陶子 MORI Toko
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工学研究科 マテリアル生産科学専攻 | 博士前期課程2年 |
Tiワイヤを用いた細胞制御による脊椎再建デバイスの創製 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞という栄誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。ご推薦ならびにご選出くださった関係者の皆様に、心より御礼申し上げます。さらに本研究を遂行するにあたり、日々ご指導くださる中野貴由教授、松垣あいら准教授をはじめ、研究室の皆様に深く感謝申し上げます。 現在の骨治療では、骨量回復が重視される一方で、ともに骨強度を支配する骨質に関しては全く考慮されていません。しかしながら機能的な骨回復には、骨質の理解が必要不可欠です。私は、専門分野である材料学的観点から骨の結晶学的構造異方性に着目し、骨機能化のメカニズム解明や骨再建のための新規材料設計に取り組んでいます。博士前期課程では、材料形状に依存した骨配向化制御メカニズムを解明し、見出した原理に基づき新規インプラント設計を提案しました。今回の受賞を励みに、博士後期課程ではさらに研究を深化させ、材料学を通じて社会に貢献できる研究者へと成長できるよう日々研鑽を積んでまいります。 |
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名和 史織 NAWA Shiori |
工学研究科 マテリアル生産科学専攻 | 博士前期課程2年 |
ウィットロカイトの低温緻密化とその機構および特性解明 | ||
この度、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。ご指導いただいている関野徹教授をはじめ、研究を支えてくださった先生方、研究室の皆様、そして家族や友人に心より御礼申し上げます。 リン酸カルシウムの一種であり、生体内に存在する「ウィットロカイト」は新規生体材料として期待されています。しかし、熱的に不安定であるため単相バルク体の作製は困難であり、その力学的特性は未解明です。そこで私は、低温焼結手法のひとつであるコールドシンタリングプロセスに着目しました。ウィットロカイトの高密度単相バルク体を作製し、その緻密化挙動および機械的特性の解明を目的とした研究を行いました。その結果、加熱温度180 ℃という低温で相対密度90%を超える高密度焼結を実現しました。博士後期課程では、低温焼結による緻密化機構をさらに展開させ、バルク内部の気孔を高度に制御した三次元複合構造の創製に取り組みます。 今回の受賞を励みに、より一層研究に精進してまいります。 |
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守實 友梨 MORIZANE Yuri |
工学研究科 環境エネルギー工学専攻 | 博士前期課程2年 |
BNCTによる深部がん治療のための照射プロトコル開発 | ||
このたびは名誉ある賞を賜り、誠に光栄に存じます。 本研究を進めるにあたり、ご指導くださった村田勲教授をはじめ、平素から大変お世話になっております研究室の皆様、そして日頃より支えてくださる関係者の皆様に、深く御礼申し上げます。 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)はホウ素薬剤と中性子を用いた放射線がん治療法です。ホウ素薬剤が腫瘍細胞に選択的に蓄積するため、周りの正常細胞を傷つけることなく、がんのみの治療が可能である低侵襲性が大きな特長です。 私はこのBNCTで深部がん治療を実現すべく、研究に邁進しております。博士前期課程では治療に用いられる中性子ビームの特徴について様々な要素を検討し、深部がん治療の可能性について考察しました。後期課程では照射時におけるプロトコルの開発・最適化を進めていく予定です。 この受賞を励みに、BNCTにおける深部がん治療が実現できるよう、今後もさらなる研究の発展に努めてまいります。 |
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杉山 友美 SUGIYAMA Tomomi |
工学研究科 環境エネルギー工学専攻 | 博士前期課程2年 |
捕食性細菌を用いたマイクロバイオーム改変によるウキクサバイオマス生産性制御に関する研究 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞という名誉ある賞を賜り、大変光栄に存じます。ご推薦・ご選出くださった関係者の皆様、また日々ご指導くださる池道彦教授、井上大介准教授をはじめ研究室の皆様、家族、友人に心より感謝申し上げます。 私の研究では、水質浄化とバイオマス生産を両立する有望な資源であるウキクサに着目し、捕食性細菌によるマイクロバイオーム改変を介したウキクサのバイオマス生産性の制御技術の開発に取り組んでいます。これまで、捕食性細菌の基礎的な特性の解明や、捕食に伴う細菌群集・ウキクサの動態を調査し、捕食性細菌による群集構造改変がウキクサの成長を促進し得ることを示しました。今後は実用化に向け、細菌と宿主の相互作用やそのメカニズムをより詳細に解明したいと考えています。 本受賞は、ひとえに人と場に恵まれ、多くの学びを得ながら切磋琢磨できる素晴らしい環境に身を置いて研究に打ち込めたおかげです。博士後期課程ではより一層研究に邁進するとともに、自身も周囲に良い影響を与えられるような研究者となるべく精進してまいります。 |
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SUKPRASERT SUPITCHA
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工学研究科 環境エネルギー工学専攻 | 博士前期課程2年 |
大気化学輸送モデルと機械学習の統合によるPM2.5濃度高精度推定手法の開発 | ||
I am truly honored to receive the Female Graduate Student Excellent Research Award. This recognition means a lot to me and serves as a strong motivation to continue my research during my PhD. This achievement would not have been possible without the support of my supervisor, Prof. Hikari SHIMADERA, whose invaluable advice has been essential in shaping my research. I am also grateful to my seniors in the laboratory for their insightful discussion and feedback. Additionally, I would like to extend my heartfelt appreciation to the award committee and everyone involved in the selection process. | ||
石原 菜々子 ISHIHARA Nanako |
基礎工学研究科 物質創成専攻 | 博士前期課程2年 |
分子動力学計算を駆使したリチウム空気二次電池の設計指針の確立 | ||
この度はこのような名誉ある賞を賜りましたこと、誠に光栄に存じます。積み重ねてきた研究活動が、このような形で花開いたことを大変嬉しく思います。 これまでの研究生活を振り返りますと、良き指導者、良き環境に恵まれた日々でありました。ほんの些細なきっかけから現在の研究テーマに出会い、たちまち魅了され、手探りながらも自身の研究の方向性を見出すことができました。これもひとえに、周囲の方々からの惜しみないサポートと温かい励ましの賜物であり、研究者として成長する機会を与えていただいたことに深く感謝しております。ご指導いただきました中西周次教授をはじめ、中西研究室の皆様、これまで関わっていただいた共同研究者の皆様、並びに支えてくれた家族に厚く御礼申し上げます。 この度の受賞を励みとし、博士後期課程においても研究活動に邁進してまいります。 |
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宮脇 彩里 MIYAWAKI Ayari |
基礎工学研究科 物質創成専攻 | 博士前期課程2年 |
シルクフィブロインナノ繊維への酵素の固定化とその生物学的応用 | ||
このたびは、大阪大学女子大学院生優秀研究賞という栄誉ある賞を頂戴し、心より光栄に存じます。 私は、患者由来の細胞を用いて人工的に臓器を作製することを目標に、細胞を育成するための足場材料の開発に取り組んでおります。博士前期課程では、酵素という機能性タンパク質とナノ繊維を組み合わせた足場材料を開発し、細胞の増殖を促進することに成功しました。しかし、酵素は機能を喪失しやすく、足場材料に組み込んだ際に十分な機能を発現させることが困難でした。こうした課題に対し、試行錯誤を重ねながら研究を進めてこられたのは、ご指導いただいた境慎司教授をはじめ、先生方や研究室の皆様のおかげです。この場をお借りしまして、心より感謝申し上げます。 博士後期課程に進学後も、本受賞を励みに、より一層研究に精励してまいります。 |
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高 天 GAO Tian |
情報科学研究科 情報ネットワーク学専攻 | 博士前期課程2年 |
Robot Path Planning for Dynamic Environment Monitoring by Predictive Uncertainty Minimization Using Gaussian Process Regression | ||
このたびは大阪大学女子大学院生優秀研究賞という栄えある賞を賜り、誠に光栄に存じます。ご推薦くださった指導教員の先生方、日頃より温かくご指導・ご支援くださっている研究室の皆様に、心より御礼申し上げます。 本研究では、人の立ち入りが難しい災害現場や感染症の拡大時などを想定し、ロボットがより効率よく環境情報を集められる方法の開発に取り組んでまいりました。現実の環境は常に変化し続けており、その中でロボットがどこを、どのタイミングで観測すべきかを自律的に判断できるように工夫を重ねてきました。 この成果は国際会議ICCE 2025にて発表され、Best Paper Awardも受賞することができました。数々の困難に直面する中でも、多くの方々の支えのおかげで研究を続けることができ、このような評価をいただけたことに、深い喜びと感謝の気持ちでいっぱいです。 今後も初心を忘れず、より実社会に役立つ研究を目指して、努力を重ねてまいります。 |
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古野 凪沙 FURUNO Nagisa ![]() |
生命機能研究科 生命機能専攻 | 5年一貫制博士課程2年次 |
大腸がんにおけるBRAF V600E変異誘導性プロテインキナーゼの機能解析 | ||
この度は大阪大学女子大学院生優秀研究賞という名誉ある賞を頂戴し、大変光栄に存じます。本賞への推薦並びに選出いただきました関係者の皆様方に、厚く御礼申し上げます。 また、本研究を遂行するにあたりご指導賜りました、高島成二教授、加藤久和助教をはじめとする医化学教室の皆様、支えてくださいました多くの方々に、心より感謝申し上げます。 BRAF 変異陽性大腸がんは悪性度の高い、予後不良ながんです。様々な分子標的薬の開発が進む一方で、これらの多剤併用を行っても患者さんの5年生存率は今なお低いのが現状です。こうした課題に対し、博士前期課程では、所属研究室で同定された、BRAF変異大腸癌に発現するプロテインキナーゼの活性化メカニズム解明に取り組み、独自の生化学的手法によって新規基質候補分子を特定しました。今後は、同定分子の臨床検体における動態解析等を進め、難治性がんの病態理解を深めていきたいと考えます。この度の受賞を励みに、より一層研究に精進してまいります。 |
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湯 硯迪 TANG Yandi |
生命機能研究科 生命機能専攻 | 5年一貫制博士課程2年次 |
左右運動野間の可塑性を活用した手指運動機能再建法の開発 | ||
このたびは「大阪大学女子大学院生優秀研究賞」を賜り、大変光栄に存じます。日頃よりご指導くださる内藤栄一教授をはじめ、支えてくださる研究室の皆さま、家族、そして研究の悩みを分かち合い、励まし合ってきた研究室の女性の友人たちに、心より感謝申し上げます。また、ご推薦・ご選出くださった関係者の皆さまにも、深く御礼申し上げます。 修士課程1年目には、自分の研究力不足に悩む時期もありましたが、周囲の支えと日々の積み重ねにより、一歩ずつ成長してきました。私の研究では、脳卒中後の手指運動機能回復を目的に、左右運動野間の可塑性に着目した新たな介入法の開発を目指しています。神経科学領域では女性研究者がまだ少ない現状を踏まえ、女性の研究活動を支援する取り組みに感謝するとともに、私自身も将来、多くの女性研究者の挑戦を後押しできる存在になりたいと考えています。本賞の受賞を励みに、今後も研究に邁進し、一人でも多くの脳卒中患者の回復に貢献できるよう努めています。 |